数多くの著名演奏家を輩出してきた『スズキ・メソード』の創始者である鈴木鎮一さんの著書だ。

この本を初めて読んだ時、私はそこに書かれてあった次の一節で、自分の価値観が瞬間的に大きく変わったことに気がつくという体験をしたんだよ。その一節というのが

『－お前の右の手を見よ－

自分の能力を育てるのは誰か？生まれつきで能力は育っていくのではない。

みんな、自分が自分を育てるのだ。自分の能力をつくろうとしないで、能力がないとなげくのをやめよ。

おまえの左手は右手にはるかに劣っている。遊ばせておいたからだ。同じおまえの左右二つの手でさえ、ふだんに練習しているほうとしなかったほうではこうもちがう。

おまえ自身の人間としての能力も同じだ。育つようにしてやりもしないで、生まれつきだめだと考えるのは、おまえの愚かさだ。おまえの右の手を見よ。

おまえ自身を、そのように毎日訓練すれば、力が生まれ、感覚が育ち、おまえの能力が育ってくる。おまえの右手の、左手にまさる能力は他人がつくったのではない。おまえ自身がつくったのだ。

生まれたときは、左手との優劣はなかった。それがこうもちがってくることをおもえ。いかなる能力も生まれつきで発揮されることはない。自分で自分を育てる努力をするとき能力はつくられていく。つくるのは自分自身だ。

右手はそれを知っている。右手の非凡な才能はどうしてできたか。くり返してやったからだ。人間として非凡になる方法は同じことだ。』

生まれつきの才能の差など小さいものであって、環境によって能力は育っていく。

環境の優劣がすなわち能力の優劣となる。そしてその環境をコントロールするのはまぎれもなく自分自身なんだね。

そして経営者として社員さんの才能が開花する環境を整えることの重大性を思い知ったんだ。

さらにこの本を読んでいて、自分自身に秘められている未知の才能や可能性を信じるという事はとても大切だということにも気がつかされた。

自分自身の可能性を信じる事が出来る人は、同じ様にして他の人の可能性を信じる事が出来る。これが愛かもしれないね。

逆にいうと、自分自身すら信じる事が出来ない人は、ましてや他人を信じる事なんて出来るはずがないもんね。

黒崎産業㈱の理念の一つである、『私達は自他共の幸福の為に全力で働きます。』は自分自身と他人を共に信じて、幸福になろうという思いがこめられているんだ。

四代目は自分自身と他の人の才能や可能性を信じているかい？

三代目社長より